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PXgtfont パッケージ

変更履歴
  • 2009/12/10:PXgtfont パッケージを v0.3 版に更新。

概要

7万字を超える漢字集合を含む「GT書体フォント」 (諸権利は日本学術振興会と東京大学多国語処理研究会に帰属する) を pLaTeX2e/upLaTeX2e で使用する為のパッケージである。 現在の GT 漢字の全て(78774 番まで)を使うことができるが、 GT 番号で指定できるのは 69263 番までである。 dviout、dvips、dvipdfmx の為の設定を含んでいる。

対応環境

  • TeX 処理系: pLaTeX2e / upLaTeX2e
  • DVI ウェア: dviout / dvips / dvipdfmx
  • GT 書体フォント Windows 版
    GT2000{01,09}.TTF … 1.10版
    GT2000{02,03,04,05,06,07,08,10}.TTF … 1.02版
    GT2000011.TTF … 2.41版
    GT2000012.TTF … 1.04版
    GT2000013.TTF … 1.10版
    GT20000K1.TTF … 1.20版
    GT20000K2.TTF … 2.30版
    ※ 2009 年 6 月現在の最新で最終更新は 2005 年 1 月 27 日。

ダウンロード

インストール方法については、パッケージ付属の説明書 (README)を参照してほしい。 例によって、多少複雑であるが、dvipdfmx だけの設定ならば それほど困難ではないと思う。

GTフォント特有の漢字を出力する

すなわち右の文字(読みは「たいと」等)のような JIS 基本漢字外の文字を 出力する方法を解説する。

GT フォント中の漢字の指定方法

GT フォント中の指定するのには次のいずれかの方式を使う。

  • GT 番号表現: GT フォントの漢字の各々に振られた番号(GT 書体整理番号)で指定する方式。 値の範囲は 1~78774 だが所々に欠番がある。
  • SJIS 符号値表現: TTF 版の GT フォントは複数の TTF ファイルからなるが、 目的の字が収められたフォントとその符号位置で指定する方式。 符号位置はシフト JIS で与えられる(たぶん歴史的事情から)。 フォントの名前は「GT2000-08」のような形式をもつが、 このパッケージでは特にハイフン以降の「08」を 「フォント番号」と呼ぶ。 フォント番号の可能な値は 01~13(漢字用)、k1、k2(エレメント用)のいずれかである。

例えば、本節の最初に挙げた「たいと」については、 GT 番号は「57123」、SJIS 符号値表現では 「GT2000-09 の 94C4」となる。

注意: 現在の Pxgtfont パッケージでは GT 番号表現は 69263 番まで にしか対応していない。

\GI 命令

pxgtfont パッケージで GT フォントの漢字を出力する 基本的な命令が \GI であり、以下のように使う。

  • \GI{‹GT番号›} : GT 番号表現
  • \GI{‹フォント番号›-‹SJIS符号値›} : SJIS 符号値表現

以下で「たいと」を出力する例を示す。

\documentclass[a4paper]{jarticle}
\usepackage{pxgtfont}
\begin{document}
\GI{57123}、\GI{09-94C4}。
\end{document}
参考: SJIS 符号値表現では、pTeX/upTeX の漢字コード設定に関わらず 必ずシフト JIS の符号値を用いる。

gtftex パッケージ互換の命令

gtftex パッケージW32TeX のページで配布されている;作者: 本田知亮 氏、稲垣淳 氏、角藤亮 氏)と 互換の \GT 命令も使用可能である。

  • \GT{‹GT番号›} : GT 番号表現
  • \GT{GT2000-‹フォント番号› ‹SJIS符号値›} : SJIS 符号値表現
  • \GT{GT2000-‹フォント番号› ‹代理文字›} : 代理 文字表現。‹代理文字› には SJIS 符号値表現における「SJIS符号値」を符号値 とする JIS X 0208 の漢字を表す。

以下で「たいと」を出力する例を示す。

\documentclass[a4paper]{jarticle}
\usepackage{pxgtfont}
\begin{document}
\GT{57123}、\GT{GT2000-09 94C4}、\GT{GT2000-09 汎}。
\end{document}
参考: 上の例で「汎」は JIS X 0208 のシフト JIS 符号値が 94C4 の文字である。 この場合は、pTeX/upTeX の漢字コード設定に関わらず「汎」の文字 を書くことになる。

gtfonts パッケージ互換の命令

pxgtfont を gtfonts オプション付で読み込むと、 gtfonts パッケージ配布元; 作者: Kohsaku HOTTA 氏)と 互換の \GT 命令が使用可能である。 (gtfonts 無指定の場合は、\GTgtftex パッケージ互換の動作になる。)

  • \GT{‹フォント番号›}{‹SJIS符号値›} : SJIS 符号値表現

以下で「たいと」を出力する例を示す。

\documentclass[a4paper]{jarticle}
\usepackage[gtfonts]{pxgtfont}
\begin{document}
\GT{09}{94C4}。
\end{document}

普通の文字を GT フォントで出力する

ここでは、直接に文字として入力した和文文字を GT フォントで 出力する方法を述べる。 この用途のために 2 つの命令が用意されている。

  • \gtmcfamily : 使用フォント(ファミリ)を GT フォント に切り替える。
  • \textgtmc{‹テキスト›} : 中のテキスト を GT フォントで出力する。

それぞれ LaTeX 標準の \sffamily\textsf の用法と同じである。

\documentclass[a4paper]{jarticle}
\usepackage{pxgtfont}
\begin{document}
「\textgtmc{素}」や「\textgtmc{比}」の字形に注意。
\begin{center}
  % 既定の明朝体のフォントで出力
\fbox{\LARGE 素人の作とは比較にならない。}\par
  % GT フォントで出力
\fbox{\gtmcfamily\LARGE 素人の作とは比較にならない。}\par
\end{center}
\end{document}

また、pxgtfont パッケージ読込時に mainfont オプションを 指定すると、本文の既定の明朝体フォントが GT フォントになる。

\documentclass[a4paper]{jarticle}
\usepackage[mainfont]{pxgtfont}
\begin{document}
「\GI{57123}」(たいと)は「\GI{57117}」(タイ)と
「\GI{66699}」(ト)からなる合字で、
苗字であるとされている。
(ただしこの苗字の存在は確認されていない。)
\end{document}