ZXgtfont パッケージ
~XeTeX でも GT フォントを~

概要

7万字を超える漢字集合を含む「GT書体フォント」 (諸権利は日本学術振興会と東京大学多国語処理研究会に帰属する) を XeLaTeX で使用する為のパッケージである。 現在の GT 漢字の全て(78774 番まで)を使うことができるが、 GT 番号で指定できるのは 69263 番までである。 要するに (u)pLaTeX 用の PXgtfont パッケージの XeLaTeX 版である。

対応環境

  • TeX 処理系: XeLaTeX
  • GT 書体フォント Windows 版
    GT2000{01,09}.TTF … 1.10版
    GT2000{02,03,04,05,06,07,08,10}.TTF … 1.02版
    GT2000011.TTF … 2.41版
    GT2000012.TTF … 1.04版
    GT2000013.TTF … 1.10版
    GT20000K1.TTF … 1.20版
    GT20000K2.TTF … 2.30版
    ※ 2009 年 6 月現在の最新で最終更新は 2005 年 1 月 27 日。

ダウンロード

インストール方法については、パッケージ付属の説明書 (README)を参照してほしい。

GTフォント特有の漢字を出力する

命令の体系は pxgtfont パッケージと全く同じなので、 詳しくはそちらを参照してほしい。

\GI 命令

  • \GI{‹GT番号›} : GT 番号表現
  • \GI{‹フォント番号›-‹SJIS符号値›} : SJIS 符号値表現

以下で「たいと」(GT 番号 57123;SJIS 符号値 GT2000-09 94C4)を出力する例を示す。

% このファイルの文字コードは UTF-8
\documentclass[a4paper]{article}
\usepackage{fontspec}
\setmainfont{IPA明朝}
  % 「日本語組版のための設定」は省きます...
\usepackage{zxgtfont}
\begin{document}
\GI{57123}、\GI{09-94C4}。
\end{document}

gtftex パッケージ互換の命令

  • \GT{‹GT番号›} : GT 番号表現
  • \GT{GT2000-‹フォント番号› ‹SJIS符号値›} : SJIS 符号値表現
  • \GT{GT2000-‹フォント番号› ‹代理文字›} : 代理 文字表現。
% このファイルの文字コードは UTF-8
\documentclass[a4paper]{article}
\usepackage{fontspec}
\setmainfont{IPA明朝}
  % 「日本語組版のための設定」は省きます...
\usepackage{zxgtfont}
\begin{document}
\GT{57123}、\GT{GT2000-09 94C4}、\GT{GT2000-09 汎}。
\end{document}

gtfonts パッケージ互換の命令

  • \GT{‹フォント番号›}{‹SJIS符号値›} : SJIS 符号値表現
% このファイルの文字コードは UTF-8
\documentclass[a4paper]{article}
\usepackage{fontspec}
\setmainfont{IPA明朝}
  % 「日本語組(略
\usepackage[gtfonts]{zxgtfont} % \GT を gtfonts 互換にする
\begin{document}
\GT{09}{94C4}。
\end{document}

普通の文字を GT フォントで出力する

GT フォントの中の「GT2000-01」が普通(代理文字を含まない)の Unicode フォントになっているので、これを fontspec 等を用いて指定すればよい。 従って、このための命令は特に用意していない。

以下の例では BXjscls パッケージの文書クラスと zxjatype パッケージを 用いている。 これについての詳細は 「XeLaTeX で日本語する件について」のページを参照。

\documentclass[a4paper]{bxjsarticle} % BXjscls の文書クラスです
\usepackage{zxjatype}    % ここより下の2行は zxjatype の命令です
\setjamainfont{IPA明朝}    % メインの明朝体を「IPA明朝」にする
\setjafamilyfont{gtmc}{GT2000-01} % 和文ファミリ gtmc を新設
\newcommand*{\gtmcfam}{\CJKfamily{gtmc}\relax} % 単なるマクロ
  % zxjatype を使わず素の fontspec を使うならこんな感じ
  %\newfontfamily\gtmcfam{GT2000-01}
% zxgtfont はお呼びでない...
\begin{document}
「{\gtmcfam 素}」や「{\gtmcfam 比}」の字形に注意。
\begin{center}
  % メインの明朝体のフォントで出力
\fbox{\LARGE 素人の作とは比較にならない。}\par
  % GT フォントで出力
\fbox{\gtmcfam\LARGE 素人の作とは比較にならない。}\par
\end{center}
\end{document}
\documentclass[a4paper]{bxjsarticle}
\usepackage{zxjatype}
\setjamainfont{GT2000-01} % メインの明朝体を GT フォントにする
\usepackage{zxgtfont}  % \GI 命令も使う
\begin{document}
「\GI{57123}」(たいと)は「\GI{57117}」(タイ)と
「\GI{66699}」(ト)からなる合字で、
苗字であるとされている。%
(ただしこの苗字の存在は確認されていない。)
\end{document}